自分の表現に向き合った芸術家が次に目指したもの
起業塾の同期で、保育所や教育現場などで臨床美術(アートセラピー)を取り入れた
絵画造形教室を行なっている「artmotto」さんの名刺をつくらせてもらいました。
彼女は、お子さんの小さくとも豊かな感性を丁寧にキャッチしながら、子育てしているのが印象的。
そこで受けた感動が、美術を「自分の表現に向き合うこと」から「他者の力を伸ばすために使う」
現在の原点になっている様子だったので、
主に名刺を渡す相手は大人ですが
お子さんが関われる余地を残した名刺にしてはどうかと提案しました。
こうしてうまれたのが、親子合作のロゴ。
ママのつくった文字の顔に、「嬉しい気持ちを表現した絵」を加えたシンボルマークができました。
提案したデザインがクライアントと息が合ってくると、制作途中からデザイナーのコントロール下を離れていくことは珍しくはありません。こういう時は大きなズレが生じない限り、なりゆきに任せ黒子に徹します。
塗り絵にもなる名刺
塗り絵なしでもデザインは成立するようにしてありますが、遊びたくなる余地を残しておきました。
線一本からはじまる、あなたらしさ
「上手に描いたり、作品がつくれなくても、たとえ線一本でも、その人の大切な表現。描けたことが素晴らしいと思う」
これは、打ち合わせの中、最も印象に残った言葉です。
若かりし頃デッサン教室で散々最低評価をもらった私は、人に絵を見られたくない気持ちのが共感できるタイプで、特に上手な人の前では、萎縮して描けません(笑)
この言葉は、私のような人でも絵を描くこと、表現することの敷居を下げてくれるのではないかと感じました。
美術を通して自分を肯定するという「artmotto」が最も大切にしている想いを、名刺づくりを通して一緒に言葉にしていきました。
このコピーが、必ずしもベストなわけではありません。
ただ、理念というのは、荒削りでも折に触れて言語化し、それを使っていくことでより解像度の高い言葉に練り上げていくことができるのでは?と私は考えています。
私は本職のコピーライターではありませんので、ズバッとした「正解」を渡すことはできませんし、そもそもデザイン費の費用内でやるようなことでもありません。
ですが、スタートアップ時はやりながら固めていく部分もあり、最初から完成されたものが最適というわけでもありません。
名刺という小さなツールを通して、デザイナーがジェネレーターとして共に考える場を生成し、自身の中から紡がれた言葉は、揺らぐときも自身を支え、次のステップに向かい、挑戦する勇気を奮い立たせるのではないでしょうか。
ひとりで何かをはじめる人の、味方になる名刺を作りたい
どんな知恵や力を秘めていても、本人が「自分なんて・・」とか思っていたら、その能力は出しきれないものです。
精神論と言われればそれまでですが、成果を手繰り寄せる駆動力は「自身(の想い)への確信や信頼」ではないでしょうか。
少なくとも私は、それなしで先行きの見えない中、継続できるだけの情熱は続かないです。
「デザインは問題解決の手段」です。
名刺をデザインすることが私に依頼された仕事の「部分」ではありますが、
名刺をなぜ使うのか、何のために使うのか?を考えると
必要なことは「部分」で収まらないことのが多い。
名刺でも、チラシでも、会社案内でも、何かのプロモーションでも、
予算が少なかろうが、多かろうが、
私がデザインするときに見据えるものは、いつも同じです。
だからそこ、思いっきり何も気にせず全力でやりたいという欲もあります。
フツーになりたかった
それでも、私がこの名刺プランをやるのは、
私が学生時代、これそこが正解・安定と示されていた「週5、40時間の就社」以外にも身を立てる道があり、それに挑戦する機会のある社会であってほしい、そして、万一失敗してもやり直せる社会に少しでも近づけたいと思うからです。
別に就社がどうこう思っているわけでなく、それ以外が制限つき、もしくは難度が高くしか実現できないというのは、どうなんだろうと凡人の私は思うのです。選択肢があるようでない自己責任の中で、主体的な選択とはなんなのだろう。
子どもを育ててみて、実感します。人は本当に多様な個性を持って生まれてきます。
同じ人間なのに成体になれば、そんな上手に同じ枠の中におさまれるものなのでしょうか。
たかだかデザイナーに何ができる、と笑われても
頑張るなら、正しい方じゃなく、心に嘘をつかない方で頑張りたいのです。
ジェネレーター(シップ)とは
出来事・物事が生成することに参加し、(主客・自他の境界線を溶かし、あいまいにしながら)そこで起きていることをよく見・聴き・感じ・拾い上げ、その出来事の内側でその生成を担う一部となる中能動的な状態。またそういった関わり方。
参考・引用 「ジェネレーター 学びと活動の生成」165頁より
創造社会の時代には「言ってるだけでやらない人」「自分事じゃない人」ではなく「ともにつくることに集中し、対等・水平な関係で学び合う」スタイルで、予定調和ではない創造のスパイラルを面白がりながら、生じさせる役割が求められる。
【初回限定名刺デザイン】新規受付は2023年5月~
現在ご好評につき新規受付は2023年5月〜となっております。お待たせして申し訳ございません。
ご予約についてはお問い合わせの先着順になりますので、ご検討の方はお早めにお声がけいただけますと幸いです。
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