読書記録|いじめの政治学

先日、「いじめの政治学」という書籍を、
子ども向けにした本があると聞き、図書館で借りてみました。

易しい言葉でかかれた本ですが、心がぐっと引き込まれました。
いじめの構造は子どもに子ども社会に限ったものではありませんが、
子ども社会になぜいじめが多いか、少し理解が進みました。
以下は備忘録も兼ねた印象に残った一部です。

薄くて字の大きい本っていいよね・・・
いじめをしたい」が発生する背景の考察
  • 人がもつ様々な欲の中に「他人を支配したい」という権力欲がある
  • 子どもは「構造的に」家でも社会(学校)でも権力を持てない
  • (家や学校などで)権利を制限され、権力的に支配されているほど飢えが増大

【仮説1】飢餓感を強めないために大人の側ができること

子どもの権利を「大人」が尊重し、社会全体で子どもへの権力的な支配を緩めることが、いじめの発生を抑えるのに有効?

権力欲ってどんなもの?
  • 権力欲は睡眠欲や食欲と違い、自分ひとりで完結しない。必ず人を巻き込む
  • 権力欲の快楽は、思い通りにならないハズのものを思い通りすること
  • 権力欲には「これでよい」という満足できる着地点がない。これが他の欲との違い。
  • 他の欲も欲望が権力の手段となった場合、際限がなくなる(例:相手を支配することは目的の性欲など)

【仮説2】権力欲とどう付き合うか?

●欲をなくす方向ではなく、コントロールする方向で。
●ルールに従って遊ぶ楽しみは、小学校4年生くらいでわかるようになる。
●ルールという制限のある中で勝つ、遊ぶ楽しみを覚えることで、むき出しの権力欲は損である体験を積むことが有効?

文中では「人類はまだその道筋を発見できていないが考える価値はある」と
述べられていますが、その一文にとても共感しました。

デザインは、問題解決の手段

私が折に触れて読み返す本に「デザイン×ビジネス デザインとは何か?」があります。
その冒頭3ページに「問題解決のための手段、それがデザインである」という言葉があり、
時々「はじめに」の章を読み返して初心に帰っています。
(はじめにを読んで満足し、そこで読み終えてしまっているのは内緒)

なぜ興味があるのか

私も昔いじめにあったから。
大人になって、そもそも、何故いじめられなきゃならなかったのか?という疑問の答えは、
いじめた側の当時の事情を知り、自分のケースについて理解しました。
が、同じ状況に陥ったとき、子どもが同じ選択を繰り返さないために、何ができるのか?は
今もわからないままです。

デザインの本質的な役割は「問題解決の手段」です。
解決できてない問題があるなら、考えてみようと思うのはデザイナーの職業病なのかもしれません。

参考文献:いじめのある世界に生きる君たちへ – いじめられっ子だった精神科医の贈る言葉 より