読書記録|ノンデザイナー向けデザイン書籍

ある仕事のために、最近非デザイナー・初心者向けのデザイン関係の書籍を購入し、初心に戻って目を通しています。

ひと昔前ノンデザイナーズ向けの本の定番といえばこれでした。若い時、よくこの本にお世話になりました。
近接、整列、反復、余白といったレイアウトの基本はこれで覚えました。(今は手放してしまって持ってません)


当時(20年くらい前)は初学者向けにわかりやすく噛み砕いて書かれているデザインの一般書というのはあまりなかったように記憶していますが、CANVAをはじめ、様々なデザインツールの普及や副業・兼業などの増加により「デザインをする人とその機会」が増えたのではないか、ということが書店のラインナップからも感じられました。
今回はデザインの本質的な話だけでなく、仕事でも即使える実践的なテクニックやハウツーも、押さえてある点を重視して選びました。

デザイナーじゃないのに

非デザイン職の方がチラシや名刺づくりにやりがちな点とブラッシュアップの比較が段階的に書かれています。
小さな違いですが、こういうことやるとダサくなりそうという具体例も載っているのが実践的だと思いました。
「意識低い系デザイン本」というコピーがオビにありますが、基本的・本質的なことは押さえられており、真面目で誠実な本だと思います。巻末におすすめの素材サイトの紹介も載っていて実用的。漫画なので、うちの子ども(小1)でも読んでました。

チラシのデザインはロゴなどの記号化するデザインに比べれば、一般的に難度は低いとされます。
しかし、レイアウトの基本である「近接、整列、反復、余白」の関係性の整理の量が多いため、それらを「迷いながら考えて作業している」内はセンスで勝負できる人にとっては、骨の折れる作業と映ることでしょう。
「近接、整列、反復、余白」の関係性の整理は、チラシに制作に限らず資料作成、スライド制作など一度身につけてしまえば、応用の効く場面が多いので、チラシをつくる予定はないけど・・・という人も一度手にとってみると意外な発見ができるかもです。

ペライチのデザイン

これは作例集です。見出しデザインのあしらい、書体のチョイスなど、マンネリにならないように他の人の仕事を見るのも勉強です。「デザイナーじゃないのに」の冒頭で「人間が作る物でデザインされていないものはない」という台詞がありましたが、チラシデザインを勉強に特別な教材は実はあまりいりません。家にポスティングしてくれるチラシでも十分教材になります。むしろ「今」のデザインの空気感を盗むなら今流通しているチラシのがよいくらいです。(仕事用にこの本買っておいて説得力ないですが・・・)

伝わるデザインの授業 一生使える8つの力が身につく

「授業」とタイトルがつけてあるだけあって、デザインの語源からデザインの本質が丁寧かつ段階的に押さえてありました。デザインは日本語では「意匠」と訳されますが、本来の語源が指すのは表面的な装飾のだけではなく「計画や伝えたいことを記号化して目に見えるように表すこと」つまりコミュニケーションの一部で、装飾は単に記号化・可視化の結果でしかないことが、本書を読むと腑に落ちると思います。

チラシはもちろん、書体の歴史、グラフ、VI、ロゴなど、グラフィックデザインの基礎が広く網羅されてあり、初心に帰って読み直しても十分学びがある一冊でした。こちらはどちらかというとデザイナーもしくはデザインを学びたい人向けかな、と思います。
個人的には、7章の「あいまいさ」の言語化のわかりやすさに、舌を巻きました。