読書記録|ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

予想していたより長い病院の待ち時間。
たまたま本棚に置いてあったので
暇つぶしに読み始めてみたら、思いがけず読み込んでしまいました。

若い頃、今は懐かしきブリットポップがブームでして、中でもオアシスが好きで、
歌詞の意味はもちろん、世界観もっと理解したくて、彼らの育ったマンチェスターの労働者階級の背景がわかるような映画などをよく観ていました。(ブラス!とか好きでした)
その後のリアルな世界が描かれている本で、当時見聞きした映画や音楽を思い浮かべながら読みました。

新潮社のサイトから4章まで読めます。
https://www.shinchosha.co.jp/ywbg/ywbg1/?fbclid=IwAR3eaFw3Ym8S0Zu3gdIGmI1rSNWGMxxejNDuRGm4kVqPCa7nzsCtuDh4Lwc

まだらな多様性

ベストセラーで今更説明する間でもありませんが、
この本は、イギリスのある街暮らす、アイルランド人と日本人の両親をもつ少年が、
人種や貧富の差がさまざまにまざりあう公立中学に入学して起こった出来事を
日本人である少年の母が描いたノンフィクション(エッセー)です。

日本でもすっかり定着した感のある「多様性」
一歩先いく国のリアルが描かれていました。

小柄な東洋人の子どもと白人の大人の力の差に、やりすごすことを教えること。
自衛を求められるのはどこの世界も「身体的に力の弱い側」な理不尽。
穴の空いた服を着る友達に、リサイクルで手にいれた制服をいかに自尊心を傷つけず渡すか・・・
英国の公立中では先生がソーシャルワーカーの仕事もやらざる得ないこと。
子どもの頃から子どもの権利を、繰り返し学び、子どもが子どもの権利を当たり前のようにしっていること。
表情トレーニングを幼少時からある。自分の気持ちと表情をリンクさせ、他者の表情から感情を読み取る訓練をしていること。
グリーン(環境)デモに参加できる私立校の学生とそうじゃない自分。
教室の前と後で生じている「格差」

オアシスが好きだった頃は、「フィクション」として彼の国を知りたいと思っていましたが、
この本に書かれているのは少し先に、自分の暮らす世界でも起こりうる地続きの話。

私は、オアシスが歌い上げていたように、下層上等!下級上等!みたいな意地や誇りを失わずいられるだろうか。

いじめは娯楽

作中の中でもっとも印象にのこったのは

「僕は、人間は人をいじめるのが好きなんじゃないと思う。・・・罰するのが好きなんだ」

端的にいって、私も同じ意見です。

別に悲観してるとかそんなんじゃなく、
学校で歴史を習ったらわかるように、ヒトって残念ながらずっとどこかしらで戦争しているわけで、
ヒトはヒトに加害(支配)することを禁忌する生き物である、とは考えにくいんですよね。

支配欲という暗い欲がヒトにはあることをふまえつつ、
理性と知恵で折り合いをつけようと試行錯誤してきた過程が歴史なんじゃないかと・・・


以前読んだ「いじめと政治学」にも

人がもつ様々な欲の中に「他人を支配したい」という権力欲がある

という記述がありました。

多様性というのは、いじめと政治学の言葉を借りれば、
「人類はまだその道筋を発見できていないが考える価値はある」という支配欲への新たな挑戦ではないでしょうか。

それを面白いと挑むか、大きな反動がくるか・・・
どちらに転ぶかはわかりませんが、私は私が来てほしい未来に、自分の残りの力を注ぎたいです。